唐津焼 11人展 −在るが様に−
会期 Schedule |
令和6年2月23日(金)~2月29日(木) February 23 - February 29, 2024 |
開廊時間 Opening Hours | 午前11時~午後7時まで(最終日2/29は午後5時まで) 会期中無休 Open daily 11 am to 7 pm except for February 29, when the gallery will close at 5 pm. |
出品作家 Artist | 岡本作礼 Okamoto Sakurei 川上清美 Kawakami Kiyomi 竹花正弘 Takehana Masahiro 田中佐次郎 Tanaka Sajiro 中里太亀 Nakazato Taki 十四代 中里太郎右衛門 Nakazato Tarouemon 藤ノ木土平 Fujinoki Dohei 三藤るい Mito Rui 安永頼山 Yasunaga Raizan 矢野直人 Yano Naoto 吉野敬子 Yoshino Keiko (五十音順) |
ご紹介文 Introduction |
平成22年3月に第一回「二〇一〇 唐津焼のいま-12人の陶芸家による技の競演」と題して、柿傳ギャラリーで唐津焼展を開催してから早や十四年が経ちます。
中堅と若手に声を掛けてはじまったグループ展でしたが、その間、変わらずお世話をして下さった柿傳ギャラリー店主の安田尚史様、唐津焼を愛し展覧会に来場下さいましたファンの皆様、そして私の趣旨に毎回賛同してご協力下さった作家の皆様に、先ずは心より感謝申し上げます。 皆様の大きな支えがあって、第八回「唐津焼11人展-在るが様に-」を迎えることができました。
2/27(火)に開催される茶会は、昨年5月に亡くなった櫨の谷窯の吉野敬子さんの追善茶会です。 ご主人の大原和司様が席主を務めますので、何卒ご参加下さいますようお願い申し上げます。
サブタイトルは「在るが様に」としました。 長年、唐津焼を見続けていますと、各々の作家の「唐津への想い」を表現しているように思われます。 すなわち、「唐津はこう在るべき」という決まりは何もないということです。 自由であることが唐津の魅力です。
今展は、作家の「唐津への想い」を「在るが様に」表現した展覧会です。 十一人の唐津焼作家の魅力溢れる茶陶と酒器をご堪能下さい。
岡本作礼さんの《黒織部唐津円相茶碗 銘「双龍」》は、唐津の土で美濃の黒織部に挑戦した意欲的な作品です。 茶碗正面の円相が双龍を現わしているのでしょう。 今年の干支に因んだ茶碗で、その歪み具合が絶妙です。 この作家ならではの自由な創意が生きています。
川上清美さんの《竜鱗沓茶碗》は、表面に長石釉を厚く掛けて焼成し、鱗状の縮れを出した蛇蝎唐津を進化させた、この作家のオリジナル技法によるものです。 茶碗の内外に大胆な貫入が入り、その貫入の一部に赤い土肌の抜けを見せる、男性的な雰囲気の豪快な茶碗です。
竹花正弘さんの《斑唐津茶銚》は、煎茶道具で玉露を用いる時に使う後ろ手の急須で、鉄砲口や俱輪球のかたちが可愛らしい、ふっくらとした茶銚です。 全体に白濁色の柔らかな斑釉が掛かり、朴訥な味わいを醸し出しています。この作家のやさしさが彷彿とします。
田中佐次郎さんの《斑唐津ぐい呑》は、佐次郎唐津と呼ばれる「青霄」「朱雲」「黄玄」といった独自の技法による造形ではなく、一見、普通の斑唐津のように見えますが、心の自由を得た作家でないと生まれない風格を感じます。 白い藁灰釉と赤い土との見せ方が絶妙です。
中里太亀さんの《絵唐津水指》は、丸みのある端正な姿の水指で、その胴の表面には素朴な草花文を、裏面には輪違文が鉄絵具で描かれています。 茶陶の中では、特に懐石の器に定評があり、多くのファンを持っています。 作家の人柄が滲み出た、使って心地よい器です。
十四代 中里太郎右衛門さんの《唐津手びねりぐい呑》は、赤い土に透明釉が薄っすらと掛かり、やわらかな仕上がりになっています。 口部には山道を作り、その周りや高台の内外には梅花皮が見え、深い味わいを醸し出しています。 酒器を愛する当代ならではの傑作です。
藤ノ木土平さんの《「弁財天」額》は、いまシリーズで制作している「七福神」の一員で、大黒、恵比寿と並び七福神の基になったと言われています。 音楽神、福徳神、学芸神の性格に加え、戦勝神の性格をも持ちますが、広くは福徳神、財宝神として信仰されています。
三藤るいさんの《青斑唐津茶碗》は、青唐津と斑唐津の技法から考案したオリジナル作品です。 昨年「日本陶磁協会現代陶芸奨励賞九州・沖縄展」審査委員特別賞を受賞。 その理由として、「高台が本当によくできている」とありましたが、高台が誉められることは滅多にないことです。
安永頼山さんの《絵唐津徳利》は、抽象的な模様をアクセントとしたシンプルな徳利で、砂岩を用いて成形した焼味の一味違う徳利です。 一方《山瀬斑ぐい呑》は、唐津の基本に還った作品です。 同じ斑釉でも岸岳系とは違い、山瀬特有の釉流れや青味が魅力的です。
矢野直人さんの《絵刷毛目片口》は、鶏龍山風の絵刷毛目片口です。 鉄砲口がピンと立った力の籠った造形と、白い長石釉に鉄絵で軽快な模様が描かれた、爽やかな作品です。 一方《皮鯨ぐい呑》は、口をやや端反りにし、その口の内側に黒釉を塗った皮鯨のぐい呑です。
吉野敬子さんの《斑唐津振出》は、全体に白濁色の藁灰釉が掛かり、その中を水色の釉が流れる、美しい景色の振出です。 昨年の五月に亡くなった櫨の谷窯の吉野敬子さんの遺作です。 私とは親子二代にわたる付き合いでしたが、とても残念でなりません。 合掌
森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会 常任理事) |
略歴 Biography | ▶ 岡本作礼 Okamoto Sakurei 昭和33年 佐賀県唐津市に生まれる 昭和53年 中里重利氏に師事 平成元年 現在地に工房設立 平成11年 能登島ガラス工房にてパート・ド・ヴェールを習得 平成20年 個展(野村美術館・京都) 他、個展多数 現在、佐賀大学非常勤講師、佐賀県陶芸協会 会員 ▶ 川上清美 Kawakami Kiyomi 昭和23年 長崎県対馬市に生まれる 昭和55年 愛知県立瀬戸窯業訓練校 卒業、その後、唐津、備前にて修業 昭和61年 田中 佐次郎氏に師事 昭和63年 唐津市半田にて独立 平成2年より 各地百貨店、ギャラリーにて個展 ▶ 竹花正弘 Takehana Masahiro 昭和49年 東京都に生まれる 平成12年 唐津のあや窯で三年間修行 平成15年 厳木町に割竹式登窯を築く 平成16年 初窯焚き 以降、各地で個展やグループ展を行う ▶ 田中佐次郎 Tanaka Sajiro 昭和12年 福岡県に生まれる 昭和40年 縄文・弥生土器を研究、手びねりを始める 昭和46年 肥前唐津古窯址を発掘調査、作陶活動を開始する 昭和50年 唐津に登窯を築窯する 平成16年 韓国に登窯を築窯 平成20年 韓国ソウルロッテ百貨店にて個展 平成26年 スイス・ジュネーブにて個展 平成28年 ニューヨークにて「人間国寶石黒宗麿・凡工田中佐次郎 二人展」 令和元年 しぶや黒田陶苑五十周年記念「田中佐次郎 自撰五十」を開催 令和5年 NHKラジオ番組宗教の時間三十分「陶禅一如」を語る ▶ 中里太亀 Nakazato Taki 昭和40年 佐賀県唐津市に生まれる 昭和63年 父・中里隆のもとでやきものを始める 平成5年 柿傳ギャラリーにて、中里隆・奥三十郎、三人展出品 平成6年 万葉洞みゆき店にて、父子展出品 平成7年 伊勢丹 新宿店にて初個展。以降、各地にて個展を開催 平成18年 新しく登り窯を設計、築窯 令和元年 万葉洞みゆき店にて、隆太窯 三代 中里隆・太亀・健太 作陶展を開催 ▶ 十四代 中里太郎右衛門 Nakazato Tarouemon 昭和32年 十三代 中里太郎右衛門の長男として生まれる 昭和59年 第16回日展にて叩き青唐津手付壺「貝緑」初入選 平成14年 国際陶芸アカデミー(I・A・C)の会員となる 十四代 中里太郎右衛門を襲名する 平成17年 第52回日本伝統工芸展にて「唐津井戸茶 」入選 以後、平成28年まで8回入選 平成18年 10月、天皇・皇后両陛下の佐賀県行幸啓に際し、国史跡に指定された唐人町御茶 窯および工房の御視察賜り、御説明の栄誉を受ける。 「叩き朝鮮唐津壺」佐賀県より両陛下へ献上 平成19年 日本工芸会正会員となる 平成22年 佐賀県陶芸協会の副会長に就任 平成23年 唐津市政功労者表彰を受ける、紺綬褒章受章 令和2年 中里太郎右衛門陶房の敷地内に御茶 窯記念館を開館 ▶ 藤ノ木土平 Fujinoki Dohei 昭和24年 新潟県に生まれる 昭和50年 唐津 大橋裕氏に師事 昭和53年 美濃 加藤芳右衛門に師事 昭和55年 佐賀県唐津市鎮西町に土平窯を開窯 ▶ 三藤るい Mitoh Rui 昭和53年 福岡県福岡市に生まれる 平成18年 佐賀県立有田窯業大学 ロクロ科 卒業、唐津 川上清美氏に師事 平成21年 唐津市に築窯、独立 以降、各地百貨店、ギャラリーにて個展を行う ▶ 安永頼山 Yasunaga Raizan 昭和45年 島根県益田市に生まれる 平成13年 田中佐次郎氏に師事 平成15年 藤ノ木土平氏に師事 平成20年 現在地に登り窯を築窯 平成25年 田中佐次郎氏命名の「頼山」に改名 平成28年 京都野村美術館にて茶陶展開催、第63回 日本伝統工芸展 入選 平成29年 第34回 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」入選、第7回 菊池ビエンナーレ 入選 令和元年 第25回 日本陶芸展 入選、現在形の陶芸 萩大賞展Ⅴ 佳作、第8回 菊池ビエンナーレ 入選 令和3年 「近代工芸と茶の湯のうつわ」展 出品(国立工芸館・金沢) ▶ 矢野直人 Yano Naoto 昭和51年 佐賀県唐津市に生まれる 平成6年 五年間アメリカ留学 平成14年 佐賀県立有田窯業大学校卒業 平成15年 佐賀県立有田窯業大学校嘱託講師 平成16年 自宅 殿山窯にて作陶始める 平成20年 韓国 蔚山にて六ヶ月作陶 平成27年 割竹式登窯 築窯 ▶ 吉野敬子 Yoshino Keiko 昭和47年 佐賀県伊万里市に生まれる 平成8年 父、吉野靖義の櫨ノ谷窯にて修行 平成11年 唐臼を設置し、父靖義と共に、石を砕いて作る桃山時代の唐津焼(砂岩唐津)の復興に取り組み始める 平成15年 有田窯業大学校でろくろの技術を学ぶ 平成18年 タイ、ベトナムにて現地の伝統技法を学ぶ 以降、各地で個展、グループ展などで作品を発表 平成25年 櫨ノ谷窯窯主となる 令和元年 個展(柿傳ギャラリー) 令和5年 鬼籍に入る |
作家在廊日 Date Artist in Gallery | 岡本作礼 2月25日(日) ~ 27日(火) 川上清美 2月24日(土) ~25日(日) 田中佐次郎 2月23日(金) ~24日(土) 十四代 中里太郎右衛門 2月23日(金) 藤ノ木土平 2月28日(水) ~29日(木) 三藤るい 2月27日(火) 安永頼山 2月25日(日) 矢野直人 2月27日(火) 2月23日(金) 田中佐次郎、十四代 中里太郎右衛門 2月24日(土) 川上清美、田中佐次郎 2月25日(日) 岡本作礼、川上清美、安永頼山 2月26日(月) 岡本作礼 2月27日(火) 岡本作礼、三藤るい、矢野直人 2月28日(水) 藤ノ木土平 2月29日(木) 藤ノ木土平 |
出品作品 Exhibited Works | 茶碗、花入、掛花入、水指、香合、蓋置、建水、徳利、片口、ぐい呑、盃、向付、皿、陶額など |
特別茶会 Tea Party | ▶ 吉野敬子氏 追善茶会のご案内 柿傳ギャラリーの上にある新宿 柿傳の茶室にて、残念ながらお隠れになってしまった吉野敬子さんの追善茶会を開催致します。 席主は、吉野敬子さんのご主人 大原和司氏が務めます。 皆様からのお申し込みをお待ち申し上げております。 ・日時 2月27日(火) 11:00、13:00席入の二席 ※ 席入15分前まで受付・寄付(7階)に集まりください。 ・席主 大原和司(吉野敬子さんのご主人) ・場所 新宿 京懐石 柿傳(東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル) 受付・寄付「安与ホール(7階)」 ↓ 薄茶席「残月亭(9階)」 ↓ 点心席「古今サロン(6階)」 ・点心 お食事の内容は、小向付、旬菜を盛り込んだ縁高、煮物椀、ご飯と香の物です。 もちろん、お食事に合う日本酒もふんだんにご用意しております。 ・会費 6,000円(税込) 当日、受付にて申し受けます。 ・服装 お楽な格好で、ご自由にどうぞお出掛け下さい。 ・所要 1時間45分〜2時間程度 ▶ お問い合わせ先 TEL 03-3352-5118 /FAX 03-5269-0335 MAIL gallery@kakiden.com 電話は11時~19時受付(ギャラリー休廊日を除きます) |
DM | この展覧会のDMを見る(PDF) |
展示風景動画 Exhibition Scenery Video | |
展示風景写真 Exhibition Scenery Photo | |
弊廊での 展覧会実績 Exhibition Archives |
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関連行事 Events | ▶ コラボレーション展「唐津 三玄窯 中里重利展」 本展覧会の同時開催コラボレーション展として、渋谷の「LAPIN ART GALLERY」さんで、2月23日から「唐津 三玄窯 中里重利展」が開催されます。 「LAPIN ART GALLERY」さんは、再開発で一層活況を呈する渋谷の「セルリアンタワー東急ホテル」にある素敵なギャラリーです。 店主の坂本大さんは、素敵な笑顔を絶やさず、心豊かな御仁で、私も大好きなギャラリストです。 今回のコラボレーション展では、茶人や数寄者から愛された名工 中里重利さんの遺作が並びます。 素敵な茶陶などが展観される事は間違いないでしょう。 是非、渋谷と新宿をご一緒にお楽しみ頂ければ幸いです。 柿傳ギャラリー 店主 安田尚史 ▶ 唐津 三玄窯 中里重利展 会期:令和6年2月23日(金)〜28日(水) 10:00〜19:00 会場:LAPIN ART GALLERY 東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル1F TEL 03-6427-8512 e-mail info@lapinartgallery.com ▶ 中里重利 Nakazato Shigetoshi 昭和5年 佐賀県唐津市生まれ(人間国宝、中里無庵の三男) 昭和27年 日展初入選 昭和31年 第5回 現代日本陶芸展 松坂屋賞 昭和40年 第8回 日展にて「三玄壷」特選北斗賞 昭和49年 東京・京都高島屋に於て個展(以後、各地で開催) 昭和51年 日展審査員となる 窯名を三玄窯とする 昭和52年 日展会員となる 昭和60年 佐賀県芸術文化功労賞 昭和61年 日展評議員となる 平成14年 地域文化功労者表彰(文部科学大臣表彰) 平成27年 鬼籍に入る |
主な出品作品 Main Exhibited Works |
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No.6ご売約済 Sold Out
作家名 | 十四代 中里太郎右衛門 |
作品名 | 唐津手びねりぐい呑 |
価格 | 税別11万円 (税込121,000 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | W 7.0 × D 7.1 × H 5.8 (㎝) |
No.9ご売約済 Sold Out
作家名 | 安永頼山 |
作品名 | [左]山瀬斑ぐい呑 [右]絵唐津徳利 |
価格 | 税別1万7千円 (税込18,700 円) 税別2万5千円 (税込27,500 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | Φ 5.7 × H 4.7 (㎝) Φ 7.7 × H 12.6 (㎝) |
No.10
作家名 | 矢野直人 |
作品名 | [左]皮鯨ぐい呑 [右]絵刷毛目片口 |
価格 | 税別1万4千円 (税込15,400 円) 税別2万5千円 (税込27,500 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | W 7.5 × D 7.2 × H 5.1 (㎝) W 12.8 × D 11.7 × H 8.7 (㎝) |
No.23ご売約済 Sold Out
作品名 | [左]岡本作礼/浅青唐津平ぐい呑 [中]中里太亀/唐津南蛮徳利 [右]安永頼山/唐津酒呑 |
価格 | 税別1万8千円 (税込19,800 円) 税別2万円 (税込22,000 円) 税別1万7千円 (税込18,700 円) |
箱 | 桐箱付(後日) 紙箱付 桐箱付(後日) |
寸法 | Φ 9.9 × H 3.2 (㎝) Φ 9.8 × H 11.8 (㎝) Φ 5.5 × H 5.0 (㎝) |
No.24
作品名 | [左]藤ノ木土平/朝鮮唐津刻杯【ご売約済】 [中]安永頼山/絵唐津徳利 [右]川上清美/斑唐津ぐい呑 |
価格 | 税別2万円 (税込22,000 円) 税別2万5千円 (税込27,500 円) 税別4万円 (税込44,000 円) |
箱 | 桐箱付 桐箱付(後日) 桐箱付(後日) |
寸法 | Φ 10.3 × H 2.8 (㎝) Φ 8.7 × H 11.0 (㎝) Φ 6.5 × H 6.3 (㎝) |
販売方法につきまして
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- DMや当サイトに掲載している作品は、会期が始まる前の事前予約を承っております。
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- 実際に弊廊にお出かけ頂けない方には、お電話やメールでのご注文も喜んで承ります。
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- 皆様からのお問い合わせを心よりお待ち申し上げております。