霜月の寒い一日、羽田からJAL機に乗り込みました。

敬愛する唐津焼の陶芸家、矢野直人さんを訪ねるためです。

福岡空港に到着し、空を見上げると一点の曇りもない快晴で気分も上々です。

唐津に向けてハンドルを握り、日本三大松原の一つである虹ノ松原の圧巻な松林を抜け、玄界灘を臨む名護屋湾に辿り着くと、さあ矢野さんの工房までもうすぐです。

お約束の時間を少し遅れてしまい申し訳なかったのですが、満面の笑みで迎えてくださった矢野さん、ありがたい限りです。

工房では、素敵な最新作を拝見し、美味しい薄茶一服を貴重な古唐津の一碗でいただき、感無量でした。

いろんな話をしました。

古唐津への想い、釡山にあった倭館の事、工房眼下の名護屋湾から出陣していった秀吉による文禄慶長の役、呼子のイカのさばき方（笑）・・・。

ひとしきり話に花が咲いた後、ろくろ場へどうぞといざなわれ、これから窯に入る作品達を拝見しました。

私が訪ねた日の夜から窯焚きとの事で焼き上がりが楽しみでなりません。

工房では可愛い黒猫が日向ぼっこ中で、猫と戯れる心優しい矢野さんのお姿に我が心も和みました。

さて、弊廊で二年振り四回目となる本展では、茶陶や器などの最新作を発表いたします。

その素朴な作品と、飾らないお人柄で愛陶家の皆様にも人気を博す矢野さんも在廊予定です。

どうか唐津の陶工に忌憚のないご指導を頂ければ嬉しゅうございます。

店主 安田尚史