BIZENの八人展 Ⅱ ー造形と素材ー
会期 Schedule |
令和5年12月11日(月)~12月17日(日) December 11 - December 17, 2023 |
開廊時間 Opening Hours | 午前11時~午後7時まで(最終日の12月17日は午後5時まで) 会期中無休 Open daily 11 am to 7 pm except for December 17, when the gallery will close at 5 pm. |
出品作家 Artist | 石田和也 Ishida Kazuya 伊勢﨑晃一朗 Isezaki Koichiro 近藤正彦 Kondo Masahiko 高島聡平 Takashima Sohei 瀧川卓馬 Takikawa Takuma 豊福 博 Toyofuku Hiroshi 松本優作 Matsumoto Yusaku 森 一朗 Mori Ichiro (五十音順) |
ご紹介文 Introduction |
「一流の茶陶は一流の鑑賞陶器でもある」と語った有名な古美術商がいたが、造形がしっかりした一流の茶陶は鑑賞陶器としても通用するという意味であろう。 茶の湯の世界では、土味や焼味といった素材そのものが持つ魅力も鑑賞の対象となるが、造形を中心とした欧米社会では理解されないことかも知れない。
今展に参加の八人の陶芸家は、造形を中心に制作しているが、同時に素材である備前の土の新たな可能性を引き出そうと切磋琢磨している。 造形に素材の魅力が加わって、新しい備前が誕生した。 今展は、それを証明する展覧会である。
石田和也は、平成27年にオックスフォード大学から客員教授として招聘され、窯作りから作品制作、講演などアーティストレジデンスを行った。 日本の陶芸家としては初めてのことだそうだ。 この《火襷螺法(ひだすきらほう)茶盌》は、備前の水簸(すいひ)粘土に藁を巻いて窯詰めし、サヤに入れて還元焼成で焼いたもの。 すると青味掛かった灰色の地肌に、緋色ではなく白い緋襷が生れるという。 螺法とは、轆轤の遠心力を利用して「ねじれ」を入れる石田のオリジナル技法である。
伊勢﨑晃一朗は、今年2022年度 日本陶磁協会賞を受賞した、いま注目の陶芸家である。 この《黒削水指》は、真上から見ると五つの突起のある歯車の形をしている。 その大胆な削りから生まれる強い空気感が、この水指の持つ造形力である。 さらに、しっとりとした黒備前の肌に茶褐色のゴマが掛かり、これまでの備前にはない独自の魅力を醸し出している。 力強い造形力に黒備前の素材感が融合して、古備前にはない新しい備前を創造している。
近藤正彦の《備前茶盌》は、山土をやや多めに加えた粘土を使って焼成した、おだやかな形の茶盌である。 高台の周囲には灰が降り、茶盌にはほんのりと緋色が出て、静かな趣を醸し出している。 窯の中で横向きになっていたのか、茶盌の内の側面に大きな「釉だまり」が見える。この茶盌で茶を点てて飲むと、海に沈もうとする《夕陽「釉溜まり」》を飲み込む、そんなイメージが浮かんで来る。 そう考えると、豪快な趣の茶盌なのかも知れない。
高島聡平は、北海道釧路市出身。 道都大学デザイン科卒業後、備前の伊勢﨑 淳に師事し、令和4年、日本陶磁協会現代陶芸奨励賞を受賞した。 備前の土の新たな一面を引き出すために、日夜、悪戦苦闘している。 今回の《備前茶盌》は、田土と山土をブレンドし薪窯で四回ほど焼いたもの。 そうすることで重量感のある様相が引き出せるのだという。焼き締まった黒い肌に混じった白い粒が、焼成を重ねることで釉化し、青味のある釉流れを生み出している。
瀧川卓馬は、備前焼の細工物の第一人者・島村光に師事した陶芸家である。 普段は土で原型を作り、石膏で形を取って、それを基に制作する。 今展に出品される《香合》は、茶の湯の大成者・千 利休をイメージした香合である。 その他、今展には獅子や狛犬などの置物が出品されると聞くが、「絵を読み解いて答えを導き出すなぞなぞを作りたい」という瀧川の作品はウィットに富んで面白い。 招き猫ならぬ《招き獅子》は、瀧川の人気作品である。
豊福 博の《自然練込水指》を真上から見ると、L字型の粘土の板が三枚組み合わさって、複雑な造形を形成している。 見る方向によって、造形が変化して見えるのが特徴である。 土は掘ったままの原土を使用し、紐作りと削りで仕上げることで、鉄分の多いところ、キメの細かいところ、砂気の多いところなどの層がマーブル状となって、精製する前の原土の質感を生かした土の表情が生まれるという。 造形だけでなく、土の表情にもこだわった力作である。
松本優作は、釉薬を使わず松割木だけで焼成し、土の持つ自然の美を表現した独特の備前焼にこだわって制作している。 土の持つ素朴な柔らかい土味、変化に富んだ自然な色調、炎から受ける幽玄の美が彼のテーマである。 この《備前水指》は、口辺から肩に掛けて丸みを持つ筒形の水指で、シンプルな造形に仕上げている。 そのシンプルな造形と、口辺の周囲と底から立ち上る炎のような緋色がマッチして、モダンな抽象画を見るかのようである。
森 一朗は、備前焼窯元六姓寺見家の家系・森家を継承する陶芸家である。 「いかに土の持っている記憶を呼び覚まし、そこに光を宿すことが出来るかに興味がある」という。 豪快な造形を持つ《備前三角水指》に、どんな風炉釜と組み合わせたらよいか悩むところだが、逆に、この水指が生きるような新しい茶の湯の空間を考えてみたくもなる。 これまでの備前にはない造形と焦げと緋色から発信される、力強い土の記憶が魅力的である。
森 孝一 (美術評論家・日本陶磁協会 常任理事) |
略歴 Biography | ▶ 石田和也 Ishida Kazuya 昭和61年 岡山県備前市に生まれる 平成19年 京都府立陶工高等技術専門校 卒業、備前焼人間国宝 伊勢﨑 淳に師事 平成22年 国民文化祭美術展 奨励賞 平成23年 渡英 イギリスの工房で経験を積む 平成25年 帰国 備前に工房を構え独立 平成27年 第58回 日本伝統工芸中国支部展 教育長賞 平成28年 オックスフォード大学(英国)客員教授として招聘される、イギリス各地の大学でレクチャー、ワークショップを開催 平成29年 第68回 岡山県美術展覧会 奨励賞 平成30年 シンポジウムUTSUWA&UTSUSHIロンドン芸術大学(英国) 令和元年 岡山アワード 作家/クリエイター賞 令和2年 備前市で採掘した磁器土での作品づくりに挑戦する ▶ 伊勢﨑晃一朗 Isezaki Koichiro 昭和49年 岡山県備前市伊部に人間国宝 伊勢﨑 淳の長男として生まれる 平成8年 東京造形大学 彫刻科 卒業 平成10年 渡米 ニューヨーク在住の陶芸家 ジェフジャピロ氏に師事 平成12年 帰国後、父 伊勢﨑 淳に師事 平成21年 第26回 田部美術館 茶の湯の造形展 奨励賞(平成24、28年) 平成22年 第53回 日本伝統工芸 中国支部展 日本工芸会賞 平成26年 第15回 福武文化奨励賞 令和2年 伊勢﨑晃一朗展 成る(LIXILギャラリー、東京) 令和5年 2022年度 日本陶磁協会賞、マルセン文化賞 ▶ 近藤正彦 Kondo Masahiko 昭和46年 岡山県倉敷市に生まれる 平成6年 京都市立工業試験場 本科 卒業 平成8年 隠﨑隆一に師事 平成9年 第48回 岡山県美術展覧会 奨励賞(同 平成18、21、22年) 平成13年 第18回 田部美術館大賞「茶の湯の造形」展 入選(同 平成18、21、22、25、26、28、29、30年、令和2年) 平成17年 第22回 田部美術館大賞「茶の湯の造形」展 奨励賞(同 平成24年)、第52回 日本伝統工芸展 入選(同 平成18、19、21、25年) 平成21年 日本工芸会 正会員認定 平成25年 第56回 日本伝統工芸中国支部展 岡山市長賞 平成30年 第69回 岡山県美術展覧会 岡山教育長賞 令和5年 日本伝統工芸中国展 NHK広島放送局長賞 ▶ 高島聡平 Takashima Sohei 平成3年 北海道釧路市に生まれる 平成26年 道都大学(現 星槎道都大学)デザイン学科 卒業、伊勢﨑 淳に師事 平成28年 岡山県美術展覧会 入選(平成30年、令和元年)、奨励賞 (平成29年) 平成29年 第34 回 田部美術館「茶の湯の造形展」入選 (令和2、3、4年) 平成30年 第5 回 陶美展 奨励賞、日本伝統工芸展 中国支部展 入選 令和元年 第12 回 現代茶陶展 入選 (令和2、4、5年)、現在形の陶芸 萩大賞展 V 佳作 令和2年 日本陶磁協会 現代陶芸奨励賞 中国・四国 展 奨励賞 令和4年 日本陶磁協会 現代陶芸奨励賞 中国・四国 展受賞記念 個展(柿傳ギャラリー) 令和5年 うつわや涼一石にて個展 現在、瀬戸内市牛窓町長浜にて制作 ▶ 瀧川卓馬 Takikawa Takuma 昭和52年 兵庫県生まれ 平成11年 倉敷芸術科学大学 卒業 平成14年 島村 光に師事 平成25年 備前市久々井に工房を構える ▶ 豊福 博 Toyofuku Hiroshi 昭和48年 埼玉県生まれ 平成8年 国際基督教大学 卒業 平成10年 備前焼作家 川端文男に師事 平成14年 第53回 岡山県美術展覧会 岡山県知事賞 平成18年 岡山県和気郡和気町吉田にて独立 平成21 年 第26回 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」優秀賞 平成29 年 第64 回 日本伝統工芸展 入選 令和4年 第9回 陶美展 髙島屋賞、第65回 日本伝統工芸中国展 岡山市長賞、第73回 岡山県美術展覧会 岡山県教育長賞 ▶ 松本優作 Matsumoto Yusaku 昭和49年 岡山県瀬戸内市に生まれる 平成12年 備前陶芸センター 入所 平成13年 備前焼作家 脇本博之に師事 平成18年 陶芸美術館展覧会 優秀賞 平成20年 初窯を出す 平成21年 播磨工芸会賞、陶芸財団展 陶芸大賞、神戸ビエンナーレ 入選 平成22年 第27回 田部美術館大賞「茶の湯の造形展」入選 平成25年 第56回 日本伝統工芸中国支部展 入選(同 平成26、27年) 平成28年 第67回 岡山県美術展覧会 奨励賞 ▶ 森 一朗 Mori Ichiro 昭和56年 備前焼窯元六姓 森家の家系に生まれる 平成18年 東京藝術大学 美術学部 彫刻科 卒業 平成20年 東京藝術大学 大学院 美術研究科 彫刻専攻 修了 平成25年 秀桜基金留学賞を受賞し、オランダ、 英国等を遊学 平成26年 穴窯を築く |
作家在廊日 Date Artist in Gallery | 石田和也 12月11日(月)〜13日(水) 伊勢﨑晃一朗 12月14日(木)〜17日(日) 近藤正彦 12月13日(水)〜15日(金) 高島聡平 12月13日(水)〜15日(金) 瀧川卓馬 12月14日(木)〜15日(金) 豊福 博 12月11日(月)〜13日(水) 松本優作 12月11日(月)〜13日(水) 森 一朗 12月14日(木) 12月11日(月) 石田和也、豊福 博、松本優作 12月12日(火) 石田和也、豊福 博、松本優作 12月13日(水) 石田和也、近藤正彦、高島聡平、豊福 博、松本優作 12月14日(木) 伊勢﨑晃一朗、近藤正彦、高島聡平、瀧川卓馬、森 一朗 12月15日(金) 伊勢﨑晃一朗、近藤正彦、高島聡平、瀧川卓馬 12月16日(土) 伊勢﨑晃一朗 12月17日(日) 伊勢﨑晃一朗 ※ 恐れながら、上記は予定であり、変更の可能性がございます。 |
出品作品 Exhibited Works | 茶碗、水指、花入、掛花入、香合、茶入、茶器、蓋置、建水、香炉、振出、壺、鉢、オブジェ、徳利、片口、ぐい吞、杯、焼酎杯、茶注、湯呑、四方皿、手付鉢、台皿など |
DM | この展覧会のDMを見る(PDF) |
展示風景動画 Exhibition Scenery Video | |
展示風景写真 Exhibition Scenery Photo | |
弊廊での 展覧会実績 Exhibition Archives |
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主な出品作品 Main Exhibited Works |
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No.13
作家名 | 瀧川卓馬 |
作品名 | しかたねえ |
価格 | 税別8万円 (税込88,000 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | しか:W9.5 × D8.0 × H16.0(㎝) たね:W2.0 × D1.0 × H0.8(㎝) え:W5.2 × D5.5 × H1.3(㎝) |
No.19ご売約済 Sold Out
作品名 | [左]近藤正彦/引出酒呑 [中]豊福 博/自然練込徳利 [右]森 一朗/ぐい呑(赤) |
価格 | 税別2万円 (税込22,000 円) 税別2万4千円 (税込26,400 円) 税別3万円 (税込33,000 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | Φ 6.5 × H 4.5 (㎝) Φ 9.0 × H 14.0 (㎝) W 7.0 × D 6.6 × H 5.2 (㎝) |
No.20ご売約済 Sold Out
作品名 | [左]石田和也/螺法酒盃 [中]高島聡平/備前 古色 瓢徳利 [右]瀧川卓馬/天狗盃 |
価格 | 税別1万円 (税込11,000 円) 税別2万7千円 (税込29,700 円) 税別3万円 (税込33,000 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | W 6.0 × D 6.0 × H 5.0 (㎝) W 9.8 × D 9.8 × H 14.0 (㎝) W 6.5 × D 10.0 × H 5.1 (㎝) |
販売方法につきまして
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- DMや当サイトに掲載している作品は、会期が始まる前の事前予約を承っております。
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- 実際に弊廊にお出かけ頂けない方には、お電話やメールでのご注文も喜んで承ります。
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- 皆様からのお問い合わせを心よりお待ち申し上げております。