ジェフ・シャピロさんは、米国ニューヨークの郊外で制作を続ける陶芸家です。

今から50年近く前に来日され、備前焼の人間国宝 伊勢﨑淳氏からも日本の焼き物について多くを学ばれました。

時は流れ、平成10年には、伊勢﨑淳氏のご子息、伊勢﨑晃一朗さんが、大志を抱いて海を渡り、ジェフさんの門を叩き弟子入りされます。

この拙稿を書いている時、まさに弊廊では晃一朗展を開催中であり、不思議なご縁を感じております・・・。

さて、弊廊で9年振りとなる本展では、最新作の茶盌、花入・酒器や箸置など約100点を発表致します。

ご案内状用にと沢山の作品をお送り頂いたのですが、その中から私が選んだのは↑の一盌でした。

夏の時期の展覧会としては、背が高めで恐縮ですが、米国の土で成形され、薪窯で焼成された本盌は、見所満載の良盌でした。

その佇まいも日本人とは違った感性で個性的であり、薬の調子も絶妙。

正面にと選んだ場所はまさにトリコロールの様な三色の発色が美しく、その高台は、彼の真骨頂たる大胆な削りで、気に入りました。

先日、数年振りにジェフご夫妻が来日され、仲睦まじいお二人に久々に出会えました。

彼は、日本の茶の湯文化を愛し、米国で茶陶のシンポジウムを開くなど、茶の湯文化の普及に努めるその前向きな姿勢に、日本人として頭が下がります。

本展は残念ながらジェフさんの在廊はありませんし、暑い葉月の展観で恐縮ですが、どうぞご清覧を頂ければ幸いです。

店主 安田尚史