今を継ぐ 越中瀬戸焼 かなくれ会 陶展 Ⅱ
Kanakure-kai,5 person ceramic art exhibition -from Toyama prefecture-
会期 Schedule |
令和2年9月11日(金)~9月18日(金) September 11 - September 18, 2020 |
開廊時間 Opening Hours | 午前11時~午後7時まで(最終日の9月18日は午後5時まで) 会期中無休 Open daily 11 am to 7 pm except for September 18, when the gallery will close at 5 pm. |
出品作家 Artist | 釋永由紀夫、加藤聡明、吉野香岳、北村風巳、山田智子 |
ご紹介文 Introduction |
越中瀬戸焼は、富山を代表する430年以上の歴史のあるやきものです。 天正、文禄年間、前田家の保護を受け、尾張の瀬戸焼の陶工たちが、大窯や登窯を築いて施釉陶器を焼いたことに始まります。 立山山麓からは、今もいろんな種類の陶土が産出しています。 特に白土は粒子が細かく耐火度があるので、高温の窯で焼くと、仕上がりが細やかで繊細な雰囲気になります。 現在、立山町には5窯が稼働していますが、その5人の陶芸家により平成23年「かなくれ会」が発足しました。 「かなくれ」とは、土地の言葉で「陶片」を指します。 平成25年には、富山県指定伝統工芸品の第一号に選定されました。
「かなくれ会」の陶芸家たちは、自然豊かな立山町の環境の中で、暮らしに根付いた器や茶陶を制作しています。 その作品からは、作り手の人間性や生き方が伝わってきます。 今展の意義は、流行をひたすら追うのではなく、富山の地方窯から「やきもの本来の在るべき姿を問う」という処にあります。
・加藤聡明(としあき)さんは、越中瀬戸の窯元「四郎八窯」の当主です。 普段は日常使いの器を中心に、茶道具や花器、壺などを制作されています。 2年前から煎茶を習い始めて、今は使いやすい急須作りに取り組んでいるそうです。 この「炭化急須」は、鉄分の多い赤土を用いて還元焼成で炭化焼きすると、鉄分の反応が様々で、興味が尽きないと言います。 「黒茶盌」は、地元の石粉に鉄を調合して黒い色を出すという、越中瀬戸焼の伝統的なものです。 加藤さんは、庶民の暮らしの中に自身の器の在りようを求めて制作されています。
・北村風巳(ふみ)さんは、立山町にある「陶農館」での陶芸体験を切っ掛けに、陶芸の道に進みました。 加藤聡明氏から越中瀬戸について教えを受けましたが、偶然、花見の日に陶芸家の中里逢庵氏と出会い、それが縁で、ご子息の14代中里太郎右衛門氏から唐津焼の技法を学ぶことになりました。 唐津での4年間の修業の後、立山町に枯芒(かれすすき)ノ窯を築窯し、現在に至ります。 「越中瀬戸黒茶盌」は、織部黒をイメージした筒茶盌で、かたちがとても素敵です。 「越中瀬戸藁灰釉水注」は高麗青磁の瓢形水注をイメージした作品で、地元のコシの強い土を用いて挑戦しました。 北村さんは、古典に学びながら、自らのかたちを探求されています。
・釋永由紀夫さんは、越中瀬戸の窯元「庄楽窯」の当主で、富山県を代表する陶芸家です。 その作品は米国アップル社の故スティ―ブ・ジョブスにも愛されました。 「釉彩翼水指」は、地元の白土を用いて制作したもので、翼のかたちを表現し、縦縞の間に赤、黄、緑の三色が施されています。 「澱青鎬茶碗」の澱青とは、珪酸分の多い藁灰を調整した失透性の釉薬のことで、還元焔焼成によって澄んだ青色を呈します。 茶碗の内側には鎬模様が刻され、釋永さんならではの深みのある造形を成しています。 立山の豊かな自然の中で、最良の土と向き合い、自らの在るべき姿を問いながら、作品を真摯に制作されています。
・山田智子さんの作品は、デザインがしっかりしていて、装飾が魅力的です。 陶歴を拝見すると、日本デザイン専門学校を卒業後、京都府立陶工高等技術専門学校に入学、卒業後は陶芸家の清水保孝氏に師事とあります。 立山町の「陶農館」に研修生として勤務し、今年、立山町に工房を構えました。 「二彩点紋茶盌」には、藁灰釉を使い朱と青の二色で点模様が施されています。 「描線紋水指」は、黒地に白の釉薬で雨水が跳ねたようなイメージを模様とし、摘みは結びのかたちを表しています。 山田さんの作域は、日常食器から花器や茶道具、オブジェまでと幅広く、越中瀬戸に新しい風が吹くことを期待しています。
・吉野香岳さんは、越中瀬戸の窯元「千寿窯」の三代目です。 京都精華大学造形学科陶芸部卒業後、滋賀県立信楽「陶芸の森」、京都市工業窯業試験所の研修生を経て、平成7年に「千寿窯」に戻りました。 「灰釉チラシ花入」は、祖父の代から続く技法で、大胆な灰釉のチラシが見どころです。 「三彩水指」は、轆轤成型の筒を三角に叩き、三色の釉薬を掛け分けたモダンな作品です。 登窯による焼締め効果を狙い、意識的に釉薬を掛け外した部分があります。 置き方によって景色が変わるのが特徴です。 吉野さんは、越中瀬戸の伝統を守りながら、新しいものに挑戦されています。
補遺 今回は参加されていませんが、「かなくれ会」にはもう一人、「釋永陽陶芸工房」の釋永 陽さんがいます。 作品がないので、解説文はありませんが、お名前だけご紹介しておきます。
森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会 常任理事) |
略歴 Biography | □釋永由紀夫 Shakunaga Yukio −庄楽窯− 昭和29年 富山県立山町に生まれる 昭和50年 釋永庄次郎より庄楽窯を継承 昭和51年 備前・金重素山氏に師事する 昭和54年〜 韓国の利川窯・聞慶窯・清州窯にて作陶 平成8年 スティーブ・ジョブズ氏と出会い、以後、制作依頼を受ける □加藤聡明 Katou Toshiaki −四郎八窯− 昭和36年 富山県立山町に生まれる昭和53年 石川県の九谷焼東製陶所にて東邦昭のもとで修行に入る 昭和60年 富山に帰り、家業の四郎八窯にて作陶に入る 昭和63年 自ら、登り窯を築窯 平成7年 いってこい窯を築窯 平成16年 越中陶の里「陶農館」の講師となる □吉野香岳 Yoshino Kougaku −千寿窯− 昭和45年 富山県立山町に生まれる 平成4年 京都精華大学 造形学科 陶芸部 卒業 平成5年 滋賀県立 信楽「陶芸の森」研修生 平成6年 京都市工業窯業試験所 研修生 平成7年 富山県に戻り家業を手伝う 平成22年 三代目香岳襲名 □北村風巳 Kitamura Fumi −枯芒ノ窯− 昭和52年 富山県富山市に生まれる 平成12年 越中陶の里「陶農館」にて作陶開始 平成14年 江戸時代の越中瀬戸焼に感銘を受ける 平成18年 唐津焼 中里太郎右衛門窯にて修行 平成22年 立山町に穴窯を築窯 平成23年 枯芒ノ窯と命名し、初窯を焚く □山田智子 Yamada Satoko 昭和53年 東京都に生まれる 平成18年 京都府立陶工高等技術専門学校 成形科 修了 清水保孝氏に師事 第36回 日本伝統工芸展 入選 平成20年 日本デザイン専門学校 非常勤助手として勤務 平成24年 立山町「陶農館」 に勤務 令和2年 立山町に工房を持つ |
作家在廊日 Date Artist in Gallery | 釋永由紀夫 9月11日(金)〜12日(土) 加藤聡明 9月18日(金) 北村風巳 9月13日(日) 吉野香岳 9月18日(金) 山田智子 9月11日(金) ※ 恐れながら、コロナ禍の影響により、DMに記載の当初予定から変更となっています。 さらなる変更の可能性もある事をお許し頂ければ幸いです。 |
出品作品 Exhibited Works | 茶碗、水指、花入、香合、茶器、蓋置、火入、水注、徳利、片口、ぐい吞、鉢、皿、コップ、陶板など |
DM | この展覧会のDMを見る(PDF) |
お知らせ Notice | ■新型コロナウィルス感染予防対策 ご来廊される皆様に、より安心してお楽しみいただけますよう、下記の新型コロナウィルス感染予防対策を徹底致します。 恐れ入りますが、お客様のご理解とご協力を頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。 1 大切なお客様へのお願い ・弊廊入口とビル入口に、アルコール消毒液を設置しております。ご来廊の際は、恐縮ですが、手指の消毒をお願い申し上げます。 ・お出かけの際は、出来る限り、マスクのご着用をお願い申し上げます。 ・現在、発熱がある場合や体調がすぐれない方は、恐れ入りますが、ご来廊をお見合わせ頂きますよう、お願い申し上げます。 ・過去2週間以内に、発熱や風邪で受診や服薬等をした方、および海外への訪問歴のある方は、ご来廊をお見合わせ頂きますよう、お願い申し上げます。 ・店内の混雑緩和のため、出来る限り、少人数でのご来店をお願い申し上げます。 ・通常、お客様にお出ししていた玉露などの呈茶のサービスを、申し訳ありませんが、当面の間、控えさせて頂きます。 2 弊廊として取り組む事 ・弊廊内の換気をより徹底致します。換気扇による換気に加え、入口ドアを常時開放します。 ・日常清掃をより強化致します。 ・お客樣やスタッフが頻繁に手を触れる、エレベーターのボタン、テーブルと椅子、入口ドアとトイレの取っ手、筆・ペンなどのアルコール除菌を営業中にも定期的に行います。 ・弊廊内が多くのお客様で混雑し、三密状態になったと判断すれば、弊廊への入場制限をお願いする場合もあります。 ・弊廊スタッフはマスクを着用し(マスクの下は笑顔です(^^))、検温や体調管理を徹底し、接客に務めさせて頂きます。 皆様のご来廊を心よりお待ち申し上げております。 ■コロナ禍による開催内容の変更の可能性 恐れながら、コロナ禍の状況で、さらなる営業自粛を要請された場合などは、会期と営業時間の変更や、最悪の場合オンライン展示のみの可能性もございます。どうかご理解を頂ければ幸いに存じます。 お手間をおかけして恐縮ですが、最新情報は、このホームページにて発信致しますので、此方をご確認頂ければ幸いです。 |
主な出品作品 Main Exhibited Works |
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No.5
作家名 | 吉野香岳 Yoshino Kougaku |
作品名 | 三彩水指【ご売約済】 |
価格 | 税別15万円 (税込165,000 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | W 17.5 × D 17.5 × H 17.5 (㎝) |
No.6
作家名 | 吉野香岳 Yoshino Kougaku |
作品名 | 灰釉チラシ花入 |
価格 | 税別7万円 (税込77,000 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | W 11.8 × D 10.0 × H 24.0 (㎝) |
No.7
作家名 | 北村風巳 Kitamura Fumi |
作品名 | 越中瀬戸藁灰釉水注 |
価格 | 税別12万円 (税込132,000 円) |
箱 | 桐箱付(後日) |
寸法 | W 20.0 × D 12.8 × H 23.2 (㎝) |
No.15
作家名 | 山田智子 Yamada Satoko |
作品名 | 水紋墨流シ「閑か」【ご売約済】 |
価格 | 税別1万5千円 (税込16,500 円) |
箱 | 紙箱付(後日) |
寸法 | W 30.0 × D 45.0 × H 2.0 (㎝) |
No.19
作家名 | 北村風巳 Kitamura Fumi |
作品名 | 【左端から】 網掛湯呑 貝灰釉ぐい呑 鴨徳利 |
価格 | 税別3千5百円 (税込3,850 円) 税別1万円 (税込11,000 円) 税別1万5千円 (税込16,500 円) |
箱 | 箱無し 桐箱付(後日) 紙箱付(後日) |
寸法 | Φ 7.0 × H 8.0 (㎝) Φ 6.8 × H 4.7 (㎝) W 17.8 × D 9.0 × H 11.4 (㎝) |
No.20
作品名 | 【左端から】 釋永由紀夫/釉彩貴文字盃 北村風巳/鉄流し徳利 山田智子/二彩点紋ぐい呑【ご売約済】 |
価格 | 中央 税別8千円 (税込8,800 円) 右端 税別6千円 (税込6,600 円) |
箱 | 桐箱付(後日) 紙箱付(後日) 箱無し |
寸法 | Φ 9.5 × H 3.8 (㎝) Φ 8.4 × H 12.1 (㎝) Φ 7.2 × H 4.2 (㎝) |
販売方法につきまして
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- DMや当サイトに掲載している作品は、会期が始まる前の事前予約を承っております。
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- 実際に弊廊にお出かけ頂けない方には、お電話やメールでのご注文も喜んで承ります。
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- 皆様からのお問い合わせを心よりお待ち申し上げております。