萩傳流 ー若手作家六人展ー
会期 Schedule |
平成29年7月5日(水)~7月11日(火) July 5 - July 11, 2017 |
開廊時間 Opening Hours | 午前11時~午後7時まで(最終日11日は午後5時まで) 会期中無休 |
出品作家 Artist | 岡田 泰、坂 悠太、坂倉 正紘、新庄 紹弘、田原 崇雄、玉村 信一 (五十音順) |
ご紹介文 Introduction |
なにがしかの伝統を受け継ぐという発想とその実行は、個性をあるスタンダード(基準、規範)に寄り添わせることに他なりません。
幕藩体制に支えられてきた萩焼は、明治以降、流入する圧倒的な西欧工業経済力に反応して工業化を成し遂げた他地域の在来産業を見ながら様々な努力を重ねましたが、地域経済に立脚点を得られず、近代産業へと脱皮できずにいました。だが、このような存続の危機を逆バネとして在来技術の伝流に着目し、折からの桃山茶陶ブームに乗りながらその歴史性を宣揚することで、「茶陶=萩」のイメージづくりに励みました。近代の萩焼は、大正から昭和初期、侘数寄に適うと珍重されてきた高麗茶碗とりわけ井戸の茶碗を、江戸時代から用いられてきた作陶素材を用いて写すこと、つまり萩焼開窯以前の16世紀末に千利休が大成した茶の湯の美意識を、朝鮮半島由来の陶技で現代に蘇らせることをスタンダードとしたのです。
しかし、形態や色彩また約束事といった、過去の茶陶の外観的模倣に終始する作陶姿勢からは、古色のついていない骨董品のようなものしかできません。
萩焼の人間国宝だった三輪壽雪は、まったく別次元からスタンダードを創出しました。それは、〈鬼萩割高台茶碗〉を究極とする、素材の物質性に着眼して在来技術を改良した個性のリアル(現実)の表出であり、具体的には井戸写しを至高としてきた制作態度を捨て去ることでした。ただしこれは、造形としての井戸形を拒否するものでないことはもちろん、また行為としての写し(臨模)を否定することでもなく、むしろ本歌(オリジン)を臨模する行為を、彼が能動的で知的な活動だという認識のもとに進めた結果だったのです。
臨模することの本質は、写し得た一つの表現形式を自らが磨き上げ、その資質を高めることで、オリジンを超える創造力をいかに発揮できるかにあります。すなわち、造形表現として進化の行程を見通さなくてはならない作り手の制作や生き方への覚悟をも、臨模は浮かび上がらせるのです。
「茶陶=萩」の現代の表現者たらんとする、岡田 泰、坂 悠太、坂倉正紘、新庄紹弘、田原崇雄、玉村信一の若手作家六名による今展が、「萩傳流」のオリジンを広く自分なりにたずねることから始め、自己の創造力の可能性を引き出す新たなスタンダードづくりの出発点となると期待しています。
石﨑 泰之(山口県立萩美術館・浦上記念館 副館長) |
略歴 Biography | ■岡田 泰 Okada Yasushi 昭和51年 山口県萩市に生まれる 平成14年 東京造形大学 美術学部彫刻科 卒業 平成20年 西日本陶芸美術展 山口県知事賞 受賞(同 平成27年)、田部美術館大賞「茶の湯の造形展」入選 7回 平成21年 日本伝統工芸展 入選 8回 平成25年 菊池ビエンナーレ奨励賞 受賞、日本伝統工芸展60回記念「工芸からKOGEIへ」展出品 平成27年 日本陶芸展 毎日新聞社賞 受賞 平成28年 山口伝統工芸展 日本工芸会山口支部長賞 受賞 平成29年 エネルギア美術賞 受賞 父 岡田 裕(山口県指定無形文化財萩焼保持者)に師事 日本工芸会正会員、萩陶芸家協会会員 ■坂 悠太 Saka Yuta 昭和63年 母 坂 純子(十三世髙麗左衛門)より美祢市美東町に出生 平成22年 京都造形芸術大学 美術工芸学科陶芸コース 卒業 平成23年 京都府立陶工高等技術専門校 修了 平成25年 京都市産業技術研究所 伝統産業技術者後継者育成研修 修了 母 十三世髙麗左衛門の下で作陶に入る 平成26年 十三世死去に伴い坂髙麗左衛門窯を継承する ■坂倉 正紘 Sakakura Masahiro 昭和58年 十五代新兵衛の長男として、山口県長門市に生まれる 平成19年 東京藝術大学 美術学部 彫刻科 卒業 平成21年 同大学大学院 彫刻専攻 修了 平成23年 京都市伝統産業技術者研修 修了。帰郷し、作陶に入る 平成25年 現在形の陶芸 萩大賞展 入選(2回) 平成28年 美濃茶碗展 入選、陶美展 入選 平成29年 田部美術館大賞 茶の湯の造形展 入選、現代茶陶展 入選 ■新庄 紹弘 Shinjo Akihiro 昭和60年 新庄助右衛門窯 十四代 貞嗣の長男として生まれる 平成22年 早稲田大学 卒業 平成25年 京都市産業技術研究所 伝統産業技術後継者育成研修 陶磁器コース修了 父のもとで作陶を始める ■田原 崇雄 Tahara Takao 昭和57年 山口県長門市に生まれる 平成17年 東京芸術大学彫刻科 卒業 卒業制作 菅原賞受賞 平成19年 同大学大学院 美術研究科 彫刻専攻 修了 横浜美術短期大学にて非常勤助手勤務(~平成22年) 平成22年 美濃にて修行(師 豊場惺也先生) 平成23年 父 十三代 陶兵衛に師事 作陶を始める 平成26年 現在形の陶芸 萩大賞展 入選(2回)、山口伝統工芸展 入賞(3回) 平成27年 日本陶芸展 入選(2回)、田部美術館大賞 茶の湯の造形展 入選(2回) 平成28年 日本伝統工芸展 入選、山口県美術展 優秀賞 受賞 ■玉村 信一 Tamamura Shinichi 昭和44年 山口県萩市に生まれる 平成12年 広島大学大学院 社会科学研究科 法律学専攻 博士課程 前期修了 父、登陽に師事。作陶を始める。 平成13年 第36回 西部工芸展 入選(以後9回入選) 平成14年 2002萩焼新進作家展 出展(平成18年まで連続出展) 平成15年 第65回 一水会美術展覧会 入選 平成19年 第1回 韓国・萩陶芸交流展 出展(ソウル)(5回連続出展)、萩市美術協会会長賞 受賞 平成20年 第1回 現在形の陶芸 萩大賞展 入選(3回入選) 平成26年 第61回 日本伝統工芸展 入選 平成27年 第23回 日本陶芸展 入選 |
作家在廊日 Date Artist in Gallery | □作家別在廊日 岡田 泰:5(水)〜8(土)、10(月)、11(火) 坂 悠太:5(水)、7(金)〜11(火) 坂倉 正紘:全日在廊 新庄 紹弘:全日在廊 田原 崇雄:全日在廊 玉村 信一:5(水)、8(土)〜11(火) □日別在廊日 5(水):全員 6(木):岡田 泰、坂倉 正紘、新庄 紹弘、田原 崇雄 7(金):岡田 泰、坂 悠太、坂倉 正紘、新庄 紹弘、田原 崇雄 8(土):全員 9(日):坂 悠太、坂倉 正紘、新庄 紹弘、田原 崇雄、玉村 信一 10(月):全員 11(火):全員 |
お知らせ Notice | ■オープニングレセプションパーティーのご案内 / 7月5日(水) 17:30〜 本展覧会の初日に、会場にて、ささやかなパーティー(立食)を開催します。京懐石「柿傳」のおつまみと、萩の日本酒をふるまいます。 萩の若手作家を囲んで、楽しい一時になればと願っておりますので、どうぞお気軽にご参会ください。 皆様のご来廊を心よりお待ち申し上げております。(お申し込み不要・参加費無料です) ・日 時 7月5日(水) 17:30~19:00 ・会 場 柿傳ギャラリー ■特別記念茶会 / 7月8日(土) 【お蔭様で、全席満席となりました】 柿傳ギャラリーの上にある柿傳の茶室にて、特別記念茶会を開催致します。 席主は出品作家六人全員で務めます。 茶会に参加された事がない初心の方も大歓迎ですので、どうぞ、山口の銘菓と萩ゆかりのお道具で、束の間の夏の一服をお楽しみ頂ければ幸いです。 ※ 皆様のお陰で、全ての席が満席となりました。 多数のお申込を頂きまして、誠にありがとうございました。 恐れながら、現在キャンセル待ちを受け付けております。キャンセル待ちをご希望のお客様は弊廊までお問合せ頂ければ幸いです。 ・日 時 7月8日(土) 10:00、11:00、12:00、13:00 席入の四席 ・席 主 出品作家 六人 ・会 場 新宿 京懐石 柿 傳 (東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル) 薄茶席「残月(9階)」、点心・薄茶席「古今サロン(6階)」、 受付・寄付「柿傳ギャラリー(B2階)」 ※ 席入 15 分前までにお集まりください。 ※ 服装自由です。 ・会 費 5,000 円(税込) ・申 込 参加ご希望の方は、柿傳ギャラリーまで電話、FAX、メールにてお申し込みください。 ・申込〆切 6月30日(金)迄とさせて頂きます。 皆様のお申込を心よりお待ち申し上げております。 <ご連絡先> TEL 03-3352-5118 FAX 03-5269-0335 MAIL gallery@kakiden.com 電話は 11 時~19 時受付(ギャラリー休廊日を除きます) |
主な出品作品 Main Exhibited Works |
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No.6
作家名 | 坂倉 正紘 |
作品名 | 左端から ➀萌黄酒杯【ご売約済み】 ②萌黄酒杯【ご売約済み】 ③萌黄酒杯【ご売約済み】 |
寸法 | ➀W 9.7 × D 7.3 × H 5.6 (㎝) ②Φ 7.3 × H 4.3 (㎝) ③W 8.8 × D 7.1 × H 3.7 (㎝) |
販売方法につきまして
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- DMや当サイトに掲載している作品は、会期が始まる前の事前予約を承っております。
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- 実際に弊廊にお出かけ頂けない方には、お電話やメールでのご注文も喜んで承ります。
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- 皆様からのお問い合わせを心よりお待ち申し上げております。