過去の展覧会

TANBA ー10人の作家による茶陶展

いちの まさひこ

「蜂の巣」と呼ばれる丹波の半地上式登り窯の先端にある煙出し部分
撮影 : 中西俊介

会期
Schedule
平成28年6月4日(土)~6月10日(金)
June 4 - June 10, 2016
開廊時間
Opening Hours
午前11時~午後7時まで(最終日6/10は午後5時まで) 会期中無休
出品作家
Artist
市野信水、市野雅彦、今西公彦、大上伊代、大西雅文、加古勝己、清水一二、清水 剛、
仲岡信人、ピーターハーモン (五十音順)
ご紹介文
Introduction

丹波と聞いて、まず思い出すものの一つに「丹波霧」があります。

三十数年前、 ひとり丹波を訪ねた時に出合った山間の幻想的な風景は、いまも忘れることが出来ません。

丹波は盆地なので、昼と夜の気温の差が大きく、そのため霧が発生しやすいといわれています。

そうした気候条件と美味しい農作物が育つのとは、無関係ではありません。丹波産の米や松茸、黒豆や栗、山芋(丸芋)や牡丹鍋(猪) が旨いのは、そのためです。

それは、人間とて例外ではありません。素朴で、素直な人柄の人が多いのは、そうした豊かな自然に恵まれているからだと思います。

 

丹波焼は平安時代末期に誕生した日本を代表する古窯の一つです。

以後、八百年もの長きにわたって絶やすことなくやきものを焼き続けてきました。

中世には 鮮緑色の自然釉がかかった焼締陶器が、近世にはさまざまな装飾技法や釉薬を駆使したやきものが作られました。

丹波焼を大きく分けると、丹波独自のものと、 常滑や信楽、伊賀や備前から影響を受けたものとに分かれます。

日本列島のほぼ 中心に位置し、京都や他の地方の影響を受けながらも、丹波焼は独自の個性を保守しつつ、時代と共に展開していきます。

そうした丹波焼の作陶姿勢は、いまも作家たちに受け継がれています。

 

上の写真は、丹波の半地上式登り窯の先端にある煙出し部分で、その形から「蜂の巣」と呼ばれているものです。

その「蜂の巣」から吹き出される真っ赤な炎の美しさは、丹波窯ならではの景色です。

 

市野雅彦氏は、自身の造形性と丹波の伝統を融合させた作品に挑戦しています。

市野信水氏は、丹波焼における茶陶の第一人者です。

大上伊代氏は、日本の縁起物や妖怪などに着想を得た可愛い人形で注目されて います。

今西公彦氏は、自らの魂に響いたものを信じて、作陶に専念されています。

加古勝己氏は、創作の基盤を古代土器の造形や文様に置き、それをさらに発展させて表現されています。

大西雅文氏は、いま土味と釉薬の動きと色合いを全面に打ち出した作品に挑んでいます。

清水 剛氏は、丹波の土でなにが表現出来るかという可能性に挑戦されています。

清水一二氏は、伝統の丹波の中にあって、常に革新的挑戦をされています。

ピーター・ハーモン氏は、茶道歴三十年、土もので茶碗や茶入も作りますが、 専門は磁器(彫刻青白磁)の作家です。

仲岡信人氏は、京都で灰釉を学び、丹波土と組み合わせて、独特の釉調を作り上げました。

 

この機会に、十人十色、丹波のいまをお楽しみ下さい。

森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会常任理事)

 

略歴
Biography
□市野 信水 Shinsui Ichino
昭和32年 丹波立杭に初代信水氏の長男として生まれる
昭和55年 丹波立杭にて作陶
平成元年 日本伝統工芸展 初入選
平成3年 兵庫県工芸美術展 神戸新聞社大賞(平成5年)
平成14年 克明を改め二代「市野信水」を襲名
現在、日本工芸会 正会員

□市野 雅彦 Masahiko Ichino
昭和36年 兵庫県丹波立杭に生まれる
昭和56年 今井政之氏、父・初代信水に師事
平成7年 日本陶芸展 大賞(秩父宮賜杯)
平成12年 兵庫県芸術奨励賞
平成18年 日本陶磁協会賞
平成21年 田部美術館大賞 茶の湯の造形展 大賞(島根県)
平成23年 兵庫県文化賞

□今西 公彦 Masahiko Imanishi
平成7 年 京都市立工業試験場 修了。京都 岡本 彰氏宅にて内弟子となる
平成12年 丹波に帰り作陶をはじめる。京都市立企業技術者研修 修了
平成13年 三田市にて築窯
平成22年 篠山市立杭に移る
現代茶陶展 入選(岐阜県土岐市・同平成24年)

□大上 伊代 Iyo Ogami
昭和62年 兵庫県丹波立杭に生まれる
平成22年 京都市立芸術大学 陶磁器専攻 卒業。陶芸家・佐伯守美氏に師事(栃木県)
平成23年 丹波焼・大熊窯にて作陶を始める
平成27年  神戸ビエンナーレ2015現代陶芸コンペティション 入選

□大西 雅文 Masafumi Ohnishi
昭和55年 丹文窯4代目 長男として生まれる
平成12年 大阪芸術短期大学部 デザイン美術科工芸専攻 卒業
愛知県瀬戸市霞仙陶苑(加藤裕重氏)にて修行
平成16年 立杭 丹文窯にて、作陶を始める
平成17年 加古川ヤマトヤシキにて初個展。「グループ窯」入会

□加古 勝己 Katsumi Kako
昭和40年 京都市生まれ
昭和61年 嵯峨美術短期大学 陶芸科 卒業
平成3 年 兵庫県西脇市にて作陶を始める
平成6 年 京都工芸ビエンナーレ展 優秀賞
平成16年 田部美術館大賞 茶の湯の造形展 優秀賞(島根県)
平成17年 兵庫県篠山市上筱見にて作陶活動を始める
平成22年 現代茶陶展 奨励賞(岐阜県土岐市)
平成23年 田部美術館大賞 茶の湯の造形展 奨励賞(島根県)

□清水 一二 Ichiji Shimizu
昭和36年 兵庫県丹波立杭に生まれる
昭和59年 丹波、瀬戸、備前にて学ぶ
平成12年 現代茶陶展 TOKI織部銀賞(岐阜県土岐市)
平成19年 現在形の陶芸 萩大賞展 準大賞
平成21年 日本陶芸展 茨城県陶芸美術館賞
平成26年 現在形の陶芸 萩大賞展Ⅲ 優秀賞、陶美展 奨励賞
現在、日本工芸会 正会員、日本陶芸美術協会 会員、兵庫県工芸美術作家協会 理事

□清水 剛 Takeshi Shimizu
昭和50年 兵庫県丹波立杭に生まれる 
平成11年 京都市立芸術大学 工芸科 卒業、陶芸家 今井政之・眞正氏に師事
平成17年 兵庫陶芸美術館に勤務(~平成24年)
平成21年 神戸ビエンナーレ2009 現代陶芸展 奨励賞(平成23年同賞)
平成22年 現在形の陶芸 萩大賞展2010 佳作
平成23年  日本陶芸展 入選(平成25年)
平成26年 現代茶陶展 入選(岐阜県土岐市)

□仲岡 信人 Nobuhito Nakaoka
昭和52年 大阪に生まれる
平成8 年 高等学校卒業後、丹波焼作家 西端 正氏に師事
平成13年 京都市工業試験場 陶磁器科 修業
平成18年 篠山市立杭にて独立
平成25年 田部美術館大賞 茶の湯の造形展 優秀賞(島根県)
     神戸ビエンナーレ2013 現代陶芸コンペティション 準グランプリ
     現在形の陶芸 萩大賞展Ⅲ 佳作

□ピーター・ハーモン Peter Hamann
昭和31年 アメリカ・ネブラスカ州生まれ
昭和53年 グレースランド大学 美術科 卒業
昭和56年 来日
昭和60年 滴翠美術館 付属陶芸研究所専攻科 卒業
昭和63年 篠山市に開窯
日本伝統工芸展、日本陶芸展、田部美術館大賞 茶の湯の造形展等入選・入賞多数
現在、日本工芸会 正会員
作家在廊日
Date Artist
in Gallery
4日 (土) 市野信水、市野雅彦、今西公彦、大上伊代、大西雅文、清水 剛、仲岡信人
5日 (日) 市野信水、市野雅彦、今西公彦、大上伊代、大西雅文、清水一二、清水 剛、仲岡信人
6日 (月) 市野雅彦、今西公彦、清水一二、仲岡信人
7日 (火) 市野雅彦、今西公彦、仲岡信人
8日 (水) 今西公彦、加古勝己、清水 剛、仲岡信人、ピーターハーモン 
9日 (木) 今西公彦、大西雅文、大上伊代、加古勝己、清水 剛、仲岡信人、ピーターハーモン 
10日 (金) 今西公彦、大西雅文、大上伊代、加古勝己、清水 剛、仲岡信人
お知らせ
Notice
■オープニング レセプション パーティー
本展覧会の初日に、展覧会会場にて、ささやかなパーティー(立食)を開催します。
京懐石「柿傳」のおつまみと日本酒をふるまいますので、どうぞお気軽にご参会ください。
・日時 6月4日(土) 17:30 ~19 :00
・場所 柿傳ギャラリー
・申込 不要

■特別記念茶会「TANBA」
柿傳ギャラリーの上にある茶室にて、特別記念茶会「TANBA」を開催致します。
席主は出品作家の一人であるピーター・ハーモン氏が務めます。
茶会に参加された事がない初心の方も大歓迎ですので、どうぞお気軽に、丹波ゆかりのお道具で、一服の茶の一時をお楽しみ頂ければ幸いです。
・日時 6月9日(木) 11:00、13:00席入の二席
・席主 ピーター・ハーモン 氏
・場所 新宿 京懐石 柿傳(東京都新宿区新宿 3-37-11 安与ビル)
    薄茶席「残月(9階)」、点心席「古今サロン(6階)」、 受付・寄付「安与ホール (7階)」
   ※席入15分前までにお集まりください。
・会費 5,000円(税込)   ※服装自由
・申込 参加ご希望の方は、柿傳ギャラリーまで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
(TEL 03-3352-5118、FAX 03-5269-0335、gallery@kakiden.com
 電話は11 時~19 時受付。ギャラリー休廊日を除く)
主な出品作品
Main Exhibited
Works
展覧会期間中に展示した主な作品を以下にご紹介致します。
価格は、税別か税込の記載が無い場合は、展覧会開催時点の消費税込みの金額です。
画像をクリックすると拡大写真がご覧になれます。
これらの作品以外にも多数の作品がございます。お客様のお好みをお電話かメールにてお聞かせ頂ければ、より詳細な画像を撮影して、メールにてご案内させて頂きます。
展覧会終了後は、申し訳ありませんが、作品の在庫をお調べするためのお時間を頂ければ幸いです。

市野 信水

No.1

作家名市野 信水
作品名丹波茶入
価格248,400円
寸法φ6.5 × H9.5(cm)

市野 雅彦

No.2

作家名市野 雅彦
作品名丹波赤ドベ蓋物
価格【ご売約済み】86.400円
寸法φ8.0 × H7.5(cm)

今西 公彦

No.3

作家名今西 公彦
作品名黒丹波茶盌
価格【ご売約済み】108,000円
寸法D13.2 × W13.3 × H8.9(cm)

大上 伊代

No.4

作家名大上 伊代
作品名唐獅子蓋置
価格【ご売約済み】32,400円
寸法D8.2 × W6.5 × H8.3(cm)

大西 雅文

No.5

作家名大西 雅文
作品名丹波金彩茶盌
価格【ご売約済み】48,600円
寸法φ12.5 × H10.0(cm)

加古 勝己

No.6

作家名加古 勝己
作品名沫雪茶碗
価格162,000円
寸法D12.0 × W12.5 × H9.0 (cm)

清水 一二

No.7

作家名清水 一二
作品名吹泥金桜彩盌
価格129,600円
寸法φ12.0 × H8.5 (cm)

清水 剛

No.8

作家名清水 剛
作品名塩窯縄紋水指
価格172,800円
寸法D21.8 × W23.9 × H18.4 (cm)

仲岡 信人

No.9

作家名仲岡 信人
作品名彩色灰釉茶盌
価格【ご売約済み】43,200円
寸法φ13.1 × H8.5 (cm)

ピーター・ハーモン

No.10

作家名ピーター・ハーモン
作品名彫刻青白磁刻文水指
価格183,600円
寸法φ19.5 × H16.0 (cm)

丹波展02

No.11

作家名市野信水
作品名丹波茶盌
価格194,400 円
寸法Φ 11.5 × H 8.5 (㎝)

丹波展01

No.12

作家名市野雅彦
作品名丹波埦
価格216,000 円
寸法W 13.5 × D 13.5 × H 10.8 (㎝)

丹波展03

No.13

作家名清水剛
作品名塩窯茶盌
価格64,800 円
寸法Φ 12.5 × H 9.7 (㎝)

丹波展04

No.14

作家名ピーター・ハーモン
作品名彫刻青白磁茶碗
価格【ご売約済み】75,600 円
寸法W 13.5 × D 13.5 × H 7.0 (㎝)

丹波展05

No.15

作家名大上伊代
作品名守り神
価格648,000 円
寸法〔阿〕W 26.0 × D 20.5 × H 28.5 (㎝)
〔吽〕W 29.5 × D 16.5 × H 26.5 (㎝)

販売方法につきまして

DMや当サイトに掲載している作品は、会期が始まる前の事前予約を承っております。
実際に弊廊にお出かけ頂けない方には、お電話やメールでのご注文も喜んで承ります。
皆様からのお問い合わせを心よりお待ち申し上げております。