小川 眞一郎 × まゆみ展 ー熊山を拝みてー
会期 Schedule |
平成28年5月26日(木)~6月1日(水) May 26 - June 1, 2016 |
開廊時間 Opening Hours | 午前11時~午後7時まで(最終日6/1は午後5時まで) 会期中無休 |
ご紹介文 Introduction |
小川さん夫妻の住む牛窓の工房からは、山陽一の高さを誇る熊山の山容がよく見える。 小川さん夫妻は、毎朝、その熊山を拝んでから仕事につかれるという。お二人の作品から感じる不思議なパワーは、こうした日課と決して無関係ではないように思う。
以前、備前焼の作家、原田拾六さんに案内されて、海抜507mの熊山に登ったことがある。 熊山は神仏習合の霊山で、熊山神社と霊山寺が共にある。 その山頂近くには、ピラミッドを思わせる方形三段の石積遺構「熊山遺跡」があり、その竪穴からは陶製筒形容器や奈良三彩小壺が出土している。 また、邑久地方の須恵器や土師器の工人集団が、この霊山寺の庇護を求めて山頂近くに窯を築き、供膳用器の杯・碗・盤・皿・平瓶・長頸瓶や瓦などを生産していたというから、熊山と陶工とは昔から深い関係にあるようだ。
さて、小川眞一朗さんは、昭和33年、大分県津久見市のみかん農家に生まれた。 陶芸家になろうと決心したのは22歳の時であるが、すでに高校時代からやきものが大好きで、陶芸に詳しい教師と二人で陶芸クラブを創るほどのやきもの好きであったようだ。 その後、備前の陶芸家・原田拾六氏の許で本格的にやきものを学ぶ。 原田さんは、古備前の研究家・桂又三郎氏からやきものを学ばれた陶芸家で、私の古備前の師匠でもある。 一緒に古備前の窯跡を巡ったり、いろいろな陶土を見せて貰ったり、懐かしい思い出である。 原田さんは、都会人のセンスに合わせた備前焼ではなく、備前らしい備前焼に挑戦されている稀有な陶芸家である。 その作陶姿勢には、一つとして媚びたところがない。眞一朗氏が、原田氏に魅かれたものそうした姿勢に憧れたからであろう。 その個展案内には、「古備前焼成の研究を試みる中開拓した、火焔彩窯変、その白眉、淡い翡翠色を湛えた〝黎明のあを〟をご堪能ください。」とある。 眞一朗氏もまた媚びることのない、一途な人なのである。
その眞一朗氏の一番の理解者が、奥様のまゆみさんである。 まゆみさんは、博多の老舗提灯店の長女という生粋の博多っ子である。 まゆみさんは、はじめジュエリーデザイナーの藤野寛子氏に修辞するが、中国陶磁の研究家である父親の影響からやきものに興味を持ち、有田窯業大学研修生となり染付を学んだ。 その後、岡山県備前陶芸センターで備前焼を学び、卒業後に桃磎堂17代木村憲次氏の許で修業する。 平成5年、眞一朗氏と結婚され、4年後の平成9年、牛窓に二人の協同窯「逍遥窯」を築窯した。
眞一朗氏の作品は、一見無骨なようにも見えるが、しっかりとした意志があり、その造形力にはぶれたところがない。 先にも触れたように、不思議なパワーが秘められているのである。 一方、まゆみさんの作品は、気の循環に添う自然体であり、母性に溢れたやさしさが感じられる。 とても仲の良い、いい夫婦である。 先日も「大和円照寺山村御流いけばな展」に器を出品されていたが、その代々の御門跡の「花は野にあるように」という御心に叶った、控えめであるが、それでいて存在感があるという、花の生命(いのち)と共鳴する器であった。 そして、今展にはどんな花が生けられるのか、いまからとても楽しみである。
森 孝一(美術評論家・日本陶磁協会 常任理事) |
略歴 Biography | □小川 眞一郎 陶歴 昭和33年 大分県津久見市のみかん農家に生まれる 高校時代、陶芸に詳しい教師と二人で陶芸クラブを立ち上げる 昭和55年 福岡にて陶芸の道に入る 昭和57年 備前焼の原田拾六氏の許で陶芸を修業 平成元年 名古屋世界デザイン博で準グランプリ(共作) □小川 まゆみ 陶歴 昭和30年 福岡県福岡市に生まれる。実家は明治38年創業の門田提灯店 昭和50年 ジュエリーデザイナー・藤野寛子氏に修辞する(~昭和60年) 平成 2 年 岡山県備前陶芸センター入所 平成10年 桃 堂17代木村憲次の許で修業 □二人の活動・陶歴 平成 9 年 岡山県牛窓に二人の協同窯「逍遥窯」を築窯する 平成13年 福岡天神岩田屋美術画廊にて個展開催 以降、全国各地で展覧会開催 平成18年 11月、中国龍泉、建窯の古窯(7ヵ所)、博物館(6ヵ所)を視察 |
作家在廊日 Date Artist in Gallery | 会期中、全日、在廊予定 |
主な出品作品 Main Exhibited Works |
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販売方法につきまして
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