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チーム九谷 -色絵の世界展 Ⅱ-

みつけ まさやす

会期
Schedule
平成26年10月21日(火)~10月27日(月)
October 21 - October 27, 2014
開廊時間
Opening Hours
午前11時~午後7時まで(最終日は午後5時まで) 会期中無休
出品作家
Artist
赤地 径、佐藤 亮、武腰 潤、田島正仁、田畑奈央人、中田一於、中田雅巳、福島武山、見附正康、南 繁正、吉田幸央
(五十音順)
ご紹介文
Introduction

「チーム九谷 -色絵の世界展Ⅱ-」に寄せて

白い文明として知られている古代ギリシャのパルテノン宮殿やミロのビーナスは、じつは純白ではなく色鮮やかに着色されていたというNHK「知られざる大英博物館」第2集・古代ギリシャは衝撃的な番組であった。そこに現われた色彩は、古代エジプトのピラミッドの内部を飾る色彩とそっくり、ギリシャが白い文明だというのは後世の勘違いで、単に時間が経過して色が剥げ落ちただけというのが真実だったようだ。その白い文明を見て、「白こそが最も高貴で穢れのない色」とみなすようになったのは、ヨーロッパ人の勘違いから生まれた美意識であった。その美意識が、現代彫刻さらには現代陶芸にも影響を与えている。いまから一万五千年前に描かれたフランスのラスコーの洞窟壁画にも、黒・赤・黄・茶・褐色の顔料が使われている。人類にとって色彩はなくてはならないものなのだ。

さて色絵磁器の魅力についてだが、それはなんといっても美しい色彩の調和であろう。次に精巧な描線、そして意匠の構成力が挙げられる。工学博士で、陶磁研究家でもあった大河内正敏氏は「柿右衛門と古九谷と色鍋島」という文章の中で、「徳川時代に制作された日本の陶器の中で、意匠の優れたる、精巧な、而も高雅な物を求めるならば、自分は柿右衛門と、古九谷と、而して大川内焼即ち鍋島を推す者である。」と書いている。柿右衛門の赤の彩色は深味があって独特だ。乳白(にごし)手の白素地との調和が大事だという。色鍋島は図案の構成力に優れ、線の一本一本にも格式がある。古九谷は大胆な構図、重厚な色彩、力強い線描に特徴がある。その魅力は、意匠と色彩にみなぎる力強い生命力であろう。

「チーム九谷-色絵の世界展Ⅱ-」は、その古九谷の伝統をいまに引き継ぐ作家たちの展覧会である。出品作家をあいうえお順に紹介すると、躍動感にあふれ自由で楽しい器作りを目指す赤地径氏、素朴で温かい図柄が生きる様に粋な構図を考案する佐藤亮氏、彩色の面積と分量にこだわり気魄の籠った線描に命を懸ける武腰潤氏、紺碧の深い色を求めて釉薬を五度掛け五度焼成しそして生まれる鮮やかなグラデーションの高度な熟練技がひかる田島正仁氏、日々「釉裏銀彩」の技を進化させ格調の高さで勝負する中田一於氏、「赤絵細描」の技術を現代に蘇らせた第一人者・福島武山氏、その精巧な赤絵細描によって今年度のパラミタ陶芸大賞に輝いた見附正康氏、淡い緑色を基調に斬新な構図で異彩を放つ南繁正氏、パステル画のような淡く華やいだ「彩色金彩」「彩色金襴手」で注目される吉田幸央氏の9人に加えて、九谷の磁土でイグアナや虎を象った彫刻的作品を追求する田畑奈央人氏、白い生地の上に黒い化粧土を塗り針で線を掻き落とし、その線の上に色化粧を塗り込んだ作品で注目される中田雅巳氏の若手新メンバー2人を加えた総勢11人の作品が並ぶ。また、今回からメイン作品の他、各人共通のテーマ作品「菓子鉢もしくは向付」を出品していただくことになった。図録に掲載されている作品がそれらである。

 

森  孝一(美術評論家・日本陶磁協会事務局長)

略歴
Biography
□赤地 径 Kei Akaji
昭和47年 石川県金沢市生まれ
平成 6 年 石川県立九谷焼技術研修所基礎コース卒業 多治見市陶磁器意匠研究所にて半年間研修~現在 赤地陶房
平成14年 赤地健・径 二人展 やきものいこま(奈良)
平成23年 個展 pARa:siTe(金沢)
平成25年 モノトヒト(金沢)

□佐藤 亮 Ryo Satou
昭和21年 新潟市生まれ
昭和45年 早稲田大学卒業
昭和54年 現在地で独立
昭和55年 日本伝統工芸展 初入選
昭和59年 日本工芸会正会員となる コンペティション’97 九谷等で受賞

□武腰 潤 Jyun Takegoshi
昭和23年 石川県寺井町生まれ
昭和45年 金沢美術工芸大学日本画科 卒業
平成14年 日本伝統工芸展 朝日新聞社賞
平成18年 21世紀展 出品(以後毎年出品)
平成19年 日本伝統工芸展 鑑査賞(平成24年)、菊池ビエンナーレ 入選(平成21年、23年)、平成18年度日本陶磁協会賞
平成21年 日本陶芸展 招待作家(平成23年、25年)
平成23年 日本伝統工芸陶芸部会展 審査員就任

□田島 正仁 Shoni Tajima
昭和23年5月2日生
昭和52年 第33回 石川県現代美術展 次賞受賞
昭和53年 第6回 中日国際陶芸展 外務大臣賞受賞
昭和60年 第26回 石川の伝統工芸展 優秀賞受賞
平成3年 ’91 金沢工芸大賞 コンペティション優秀賞受賞
平成18年 第53回 日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞受賞
平成21年 菊池ビエンナーレ展 入選
平成22年伝統九谷焼工芸展 優秀賞受賞(平成23年、24年)

□田畑 奈央人 Naoto Tabata
昭和44年 三重県生まれ
平成4年 明治大学法学部卒業
平成16年 武腰潤先生に師事
平成17年 石川の伝統工芸展 入選、伝統九谷焼展 入選
平成23年 伝統九谷焼展 技術賞受賞

□中田 一於 Kazuo Nakata
昭和24年 石川県小松市生まれ
昭和54年 一水会賞受賞
平成2年 日本伝統工芸展 文部大臣賞受賞
平成13年 伝統九谷工芸展 大賞受賞 県立美術館買上げ
平成14年 石川県指定無形文化財 九谷焼技術保存会保持者に認定
平成20年 日本工芸会理事就任
平成22年 日本工芸会 保持者賞受賞、北国文化賞受賞
平成23年 紫綬褒章受章、日本伝統工芸展特待者出品

□中田 雅巳 Masaru Nakada
昭和52年 石川県生まれ
平成 9 年 石川県立九谷焼技術研修所基礎コース卒業
平成18年 第6回 益子陶芸展 入選、第5回 出石磁器トリエンナーレ 入選
平成17年 京畿道世界陶磁ビエンナーレ(韓国)入選 、 金沢市工芸展 金沢市長最優秀賞
平成23年 菊池ビエンナーレ入選 (同25年)、日本陶芸展入選(同25年賞候補)、現代美術展 北國賞(同26年)、長三賞常滑陶芸展入選(同25年)
平成26年 Meister der Moderne展Bavarian States Prize賞受賞(ドイツ)

□福島 武山 Buzan Fukushima
昭和38年 石川県立工業高校デザイン科卒
平成7年 創造美術展 東京都知事賞受賞
平成11年 第23回 全国伝統的工芸品公募展にて第一席グランプリ内閣総理大臣賞を受賞
平成13年 伝統九谷焼工芸展 大賞受賞
平成17年 石川県指定無形文化財 九谷焼技術保存会会員に指定される
平成19年 九谷焼伝統工芸会 会長就任、石川の伝統工芸展 優秀賞受賞

□見附 正康 Masayasu Mitsuke
昭和50年 石川県加賀市生まれ
平成9年 福島武山氏に師事(平成19年独立)
平成12年 伝統九谷焼工芸展 技術賞受賞(平成17年、21年)
平成22年 全国伝統工芸品公募展 経済産業省製造産業局長賞受賞
平成23年「REVALUE NIPPON PROJECT―中田英寿現代陶芸と出会う―」 (茨城県陶芸美術館)
平成24年「工芸未来派」(金沢21世紀美術館)
平成26年 第9回パラミタ陶芸大賞展 大賞受賞(パラミタミュージアム)

□南 繁正 Shigemasa Minami
昭和25年 石川県能美郡寺井町湯谷生まれ
昭和46年 日本硬質陶器株式会社 図案室勤務(〜昭和57年)
昭和55年 第27回 日本伝統工芸展 初入選
昭和57年 (財)寺井町九谷焼資料館勤務(〜平成3年)
昭和61年 日本工芸会正会員に認定される
平成4年 第39回 日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞受賞
平成22年 石川県指定無形文化財保持団体 九谷焼技術保存会会員に認定される
平成25年 第1回 陶美展 入選

□吉田 幸央 Yukio Yoshida
昭和35年 石川県小松市生まれ
昭和57年 金沢美術工芸大学卒業
平成4年 伝統九谷焼工芸展 大賞受賞
平成6年 高岡クラフト展 金賞受賞
平成11年 陶芸ビエンナーレ’99 特別賞受賞
平成12年 第2回 現代茶陶展TOKI織部 銀賞受賞
平成21年 伝統九谷焼陶芸展 大賞受賞
平成22年 第57回 日本伝統工芸展 高松宮記念賞受賞
お知らせ
Notice
■記念講演会 【『九谷焼の魅力』森 孝一 氏 】
本展覧会の初日に、柿傳ギャラリーと同ビルの安与ホールにて 記念講演会『九谷焼の魅力』を行いますので、どうぞご参加ください。
・日時 10月21日(火) 16:00~17:30
・場所 安与ホール(東京都新宿区新宿3-37-11 安与ビル7階)
・講演者 森 孝一氏(美術評論家・日本陶磁協会 事務局長)
・参加費 無料
・申込 参加ご希望の方は、柿傳ギャラリーまで電話、FAX、メールにてお申し込みください。
(TEL 03-3352-5118 FAX 03-5269-0335 MAIL gallery@kakiden.com
電話は11時~19時受付。ギャラリー休廊日を除く)

■オープニングレセプションパーティー
本展覧会の初日に、展覧会会場にて、ささやかなパーティー(立食)を開催します。 京懐石「柿傳」のおつまみと日本酒をふるまいますので、どうぞお気軽にご参会ください。
・日時 10月21日(火) 上記の講演会終了後、17:30~19:00
・場所 柿傳ギャラリー
・参加費 無料
・申込 不要
主な出品作品
Main Exhibited
Works
展覧会期間中に展示した主な作品を以下にご紹介致します。
価格は、税別か税込の記載が無い場合は、展覧会開催時点の消費税込みの金額です。
画像をクリックすると拡大写真がご覧になれます。
これらの作品以外にも多数の作品がございます。お客様のお好みをお電話かメールにてお聞かせ頂ければ、より詳細な画像を撮影して、メールにてご案内させて頂きます。
展覧会終了後は、申し訳ありませんが、作品の在庫をお調べするためのお時間を頂ければ幸いです。

赤地径

No.1

作家名赤地 径
作品名赤絵蝶形皿(一客)
価格【ご売約済】3,888
寸法W14.0 × D11.0 × H4.0 (㎝)

佐藤亮

No.2

作家名佐藤 亮
作品名色絵四方鉢「爽」
価格【ご売約済】75,600
寸法W20.5 × D20.5 × H6.3 (㎝)

武腰潤

No.3

作家名武腰 潤
作品名鴾の絵六角の鉢
価格【ご売約済】194,400
寸法W22.4 × D25.7 × H5.8 (㎝)

田島正仁

No.4

作家名田島 正仁
作品名彩釉菓子鉢
価格【ご売約済】129,600
寸法W30.7 × D18.5 × H15.0 (㎝)

田畑奈央人

No.5

作家名田畑 奈央人
作品名トラの向付
価格【ご売約済】64,800
寸法W41.0 × D11.0 × H8.0(㎝)

中田一於

No.6

作家名中田 一於
作品名白銀釉裏銀彩悠苑菓子器
価格324,000
寸法W20.6 × D20.6 × H7.8(㎝)

中田雅巳

No.7

作家名中田 雅巳
作品名SEN(一客)
価格6,480
寸法Φ10.0 × H7.0 (㎝)

福島武山

No.8

作家名福島 武山
作品名唐子遊文コンポート
価格540,000
寸法Φ24.5 × H11.0 (㎝)

見附正康

No.9

作家名見附 正康
作品名赤絵細描小紋唐草鉢
価格【ご売約済】183,600
寸法Φ19.5 × H7.5 (㎝)

南繁正

No.10

作家名南 繁正
作品名蓮葉図鉢
価格108,000
寸法Φ27.0 × H8.0 (㎝)

吉田幸央

No.11

作家名吉田 幸央
作品名金襴手彩色菓子鉢
価格194,400
寸法Φ18.7 × H7.3 (㎝)

販売方法につきまして

DMや当サイトに掲載している作品は、会期が始まる前の事前予約を承っております。
実際に弊廊にお出かけ頂けない方には、お電話やメールでのご注文も喜んで承ります。
皆様からのお問い合わせを心よりお待ち申し上げております。